彼を知り己を知れば百戦殆うからずとは、孫氏の兵法ですが
洗濯にも通じる物があると感じる、洗濯オヤジです。

洗濯で言う彼(敵)は汚れ、己は洗濯物の素材と考えれば、洗濯作戦も立てやすくなるのではないかと思います。


今回は化学繊維についてまとめてみます。

化学繊維は、再生繊維、半合成繊維、合成繊維に分けられます。

そのなかでも、衣類によく使われる素材についての特徴などをまとめて行きたいと思います。


2.化学繊維

(1)再生繊維
 天然のセルロース原料を化学薬品などで溶解した後に、細い穴から押し出して固め、繊維に再生させたものです。なので主成分は、綿、麻と同じセルロース(植物繊維の主成分)になります。     


① レーヨン
 原料の木材パルプから絹の外観に似せて人工的に作った再生繊維。
 ガラスのように光る独特の光沢で、婦人衣料などによく使われる。
 染色性がよく、肌触りもよい。吸湿性は綿より大きい。
 強度が綿、絹より弱く、特に濡れた状態では強度が半分程度まで低下する。
 製品として、コシ、ハリがなくだらっとした感じになるので、それを補うために各種合成繊維との混紡した製品が多い。
 
洗濯の注意点
 水に濡れると、弱くなったり破れたり、激しく縮んでしまう素材。水で洗えるように加工などさ

れていないものは、かなり洗濯がしにくい素材です。
 原料が木材パルプなので、レーヨン単体だと、紙を洗濯するようなイメージでしょうか。レーヨンの比率が高いものは、クリーニング店に持って行った方が無難ですね。
 

② ポリノジック
 レーヨンと同じく、木材パルプを原料にした再生繊維ですが、紡糸条件を改善して、レーヨンよりも濡れた時の強度や、収縮するなどの欠点を改善したもので、改質レーヨンとも言われる。
 コシやハリも綿に近い性質となっている。他繊維と混紡して綿と同様な分野に使われている。
 主な用途は、婦人夏服地、ブラウス、下着、裏地など。
 
洗濯の注意点
 レーヨンよりは水に強いけれど、水洗いした場合は縮んだり型崩れする恐れがあります。
 洗濯する前に、洗濯表示を確認して、水洗い不可ならクリーニング店に持っていくのが無難です。
 水洗いOKなら、優しく押し洗いか、洗濯機のデリケートコースなどで優しく洗ってください。


③ キュプラ
 原料のコットンリンター(綿花をとった後に残る短繊維)を、銅アンモニア溶液で溶かしてから紡糸して作られた繊維。
 太さはレーヨンの半分以下の細いものも作れ、断面は丸く、表面はソフトタッチ。
 保湿性と清涼感があり、濡れた時の強度、耐久性などはレーヨンより優れている。
 光沢と滑りの良さから、高級裏地や婦人用インナーに使われている。

 
洗濯の注意点

 レーヨンに非常に近い素材ですが、レーヨンよりは若干扱いやすいです。 

 スーツやワンピースなどの裏地によく使われているので、表地が洗濯しやすい素材でも、裏地がキュ

プラのために洗濯がしにくくなることもよくあります。 

 摩擦に弱く、毛羽立ちやすいので、汚れた場所を強くこすると毛羽立ちます。
 洗濯表示では、ほとんど水洗い不可となっていると思うので、クリーニング店へ出すのが無難です。
 


  
(2)半合成繊維
 植物や動物から産出した天然繊維の原料を使って合成した繊維で、石油などから化学的に作られる合成繊維とは異なり、天然繊維の長所も併せ持った繊維です。
 半合成繊維には、繊維素系(アセテート・トリアセテート)とタンパク質系(プロミックス)があります。


① アセテート・トリアセテート
 セルロースに酢酸を結合した繊維。
 アセテートとトリアセテートの性質は若干異なりますが、取り扱い方法に大きな違いはありません。
 酢酸の結合が多く、親水性少ないトリアセテートのほうが、ポリエステルのような合成繊維に近く、アルカリによって酢酸の結合が失われるとレーヨンの性質に近くなる
 アセテートは絹に似た光沢と深みのある鮮明な発色を特徴とし、ハリ、コシ、ドレープ性も優れている。レーヨンより吸湿性が低く、濡れてもレーヨンのような型崩れをしないが、耐熱性はレーヨンより低く熱で溶ける。
 主な用途は、婦人用アウター、スカーフ、高級寝装品など



洗濯の注意点
 合成繊維(ポリエステル、ナイロン、アクリル)と比べると弱くデリケートな素材。PHが5.5を超える酸性のものや、除光液などの溶剤で溶けるので注意。 


 

② プロミックス
 タンパク質の牛乳カゼインにアクリロニトリルを結合した動物性の半合成繊維。
 適度な吸湿性、絹に似た暖かい感触、美しい光沢が特徴。
 レーヨンやキュプラと同じような風合いなので、現在は製造されていません。
 用途としては、和服、和装品、ブラウス、ネクタイ、スカーフなど。

洗濯の注意点
 プロミックスは、摩擦や熱に弱く、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)で繊維が脆化することがあります。 
 現在は製造されてないので、ほとんど見かけることもないと思いますが、もしプロミックス繊維を使った衣類を持っていたら、洗濯はクリーニング店に出すことをお勧めします。 



(3)合成繊維
 石油、石炭などを原料として合成した化学繊維。
 繊維製品としても消費量の多い、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリルニトリル系を三大合繊と言われている。
 合成繊維共通の一般的な性質としては、強い、軽い、暖かい、熱可塑性がある、虫やカビに抵抗性がある、吸湿性が低いなどの特徴を持つ。また、熱で収縮、伸び、軟化、溶融するものが多く、摩擦により静電気を発生しやすい。


① ナイロン
 ポリアミド系、世界最初の合成繊維。
 日光やガスにより黄変し、白や淡色は経時変化で目立ってくる。
 熱に弱く、タバコの火やストーブなどで溶融しやすい。
 用途は、スポーツ衣料、下着、ストッキングなどによく使われる。


洗濯の注意点
 繊維は非常に強いので、洗濯できるものが多い。 

 日光や漂白剤で、変色や黄ばみ、繊維の傷みが出ることがあります。  

 
 

② ポリエステル
 ペットボトルにも使われているPETや、PTT、PBTを繊維化した合成繊維。
 合成繊維の生産量はポリエステルが一番多い。使用用途も衣料用が圧倒的に多い。
 製品化した時のコシとハリ、耐熱性がナイロンやアクリルよりも優れている。
 プリーツ加工などの熱処理もしやすい。
 洗濯での伸び縮みも少なく、乾きも早く、W&W性がよい。 
 対光性はナイロンより優れ、長時間露光しても、強度低下や黄変は起こらない。
 薬品にも強い。
 欠点は、染色性がナイロン、アクリルより劣る、ピリング(毛玉)が出やすい、汚れを吸着しやすいなど。


洗濯の注意点
 洗濯しやすい素材の代表。色落ちや縮みなど気にせず洗いやすいものが多いです。 

 ただし、最近のポリエステル製品には糸が非常に細いタイプもあるので、こういったポリエステル

はシルクなどを扱うように優しく手入れをする必要があります。 

 また、スポーツをするときによく使われるような吸湿速乾タイプの服は、汗を吸いやすくするた

めに繊維の途中途中に穴を開けているものがあり、この中に汚れや菌が入り込むと普通に洗うだ

けでは落ちにくく、不快な匂いの原因になりやすいものもあります。 

 その他、摩擦で静電気が起こりやすく、毛玉が出来やすい。 

 油汚れを吸着しやすかったり、洗濯中に落とした汚れがまた繊維に戻る「逆汚染」という症状が

起こりやすいです。 



③ アクリル
 アクリロニトリルを重量比で85%以上含む合成繊維で、最も羊毛に似た性質を持っている。
 かさ高性があり、毛に似た軽くて軟らかい手触り、対候(光)性に優れ、美しい色に染まる。
 欠点は、ピリング(毛玉)が出やすく、熱に弱い。
 主に紡績糸として、セーター、靴下、毛布などに多く使われる。
 短繊維としての使用がほとんどですが、長繊維はシルキーな光沢と手触りに特徴があり、春夏物のニットや刺繍糸に用いられている。
 アクリロニトリルが少ない重量比で35~85%で塩化ビニルと結合している合成繊維をアクリル系と呼び、塩化ビニルの比率が大きくなるほど難燃性、柔軟性が向上し、カーテン、カーペット、人工毛皮などに利用される。


洗濯の注意点

 洗濯しやすいけれど、熱で変形を起こしやすいので、アイロンや乾燥機、熱湯などを使う際には

注意します。
 アセトンで溶けるので除光液などアセトンが含まれる薬品には注意。 



④ ポリウレタン
  大きな伸縮回復力のある弾性繊維。
 ゴムよりも老化せず、ドライクリーニング溶剤にも膨潤しにくく、極細の糸ができる。
 染色性が低く、濃色では色泣きしやすく、熱、油、薬品に弱い。
 パンスト、靴下、下着、スポーツ衣料、一般衣料などや、ストレッチ織物など幅広く使われている。 

洗濯の注意点

 ゴムのような伸び縮みする素材なので、洗濯で伸縮が起こります。また熱でも変形することがあるのでアイロンなども注意。
 塩素系の漂白剤で黄ばみが起こるので、使用を避ける。 




(3)その他繊維(指定外繊維)
 家庭用品品質表示法では、指定用語として定められている繊維以外のものを指定外繊維と呼んでいる。

①リヨセル(テンセル)
 木材パルプを原料に、アミンオキサイド系水溶液のほかは化学薬品を用いずに紡糸した再生繊維で、「精製セルロース繊維」とも言う。
 乾強度、湿潤強度ともレーヨンより大幅に優れるが、湿気や摩擦などの外力を受けると、フィブリル化(繊維が裂けてささくれる)が生じて、白化するので取り扱いに注意する。
 白化を目立たなくするために、ストーンウオッシュ加工してあらかじめフィブリル化させて、酸化柔軟処理などの加工を行っている。

 夏物のジャケット、ズボンなどに多い素材



洗濯の注意点

 水には比較的強いのですが、摩擦に弱いので汚れがついたからといってこすったりすると毛羽立

ちや色落ちが起こりやすいです。また、シワにも注意。



まとめ
 再生繊維や半合成繊維は、絹に似せ作られているものが多いためか、家庭での洗濯は難しいです。
 合成繊維は丈夫なものが多く、熱などに注意すれば家庭でも洗濯しやすい素材です。
 コインランドリーでは合成繊維の洗濯は問題ないものも多いですが、再生繊維や半合成繊維は難しいです。いずれにせよ、洗濯前に洗濯表示などをよく確認し、難しい物は無理せずクリーニング店などに相談しましょう。